2016年6月17日金曜日

第11話 「採点ではない『花まる』」(花まる:前原)

「この『サボテン』、全部合っていないんですが・・・、これも花まるをつけていいのですか?」
「一問も解ききることのできていない『サボテン』にも花まるをつけていいのですか?」

地域の方、保護者、企業の方が、週4回、小学校で朝の時間に行っている花まるタイムに、サポーターとして参加してくださいます。文章の書き写しを行う「あさがお」、計算教材の「サボテン」では、子どもたちが頑張ってやったページに対して、「今日も頑張ったね!」の印として、大きな花まるを、サポーターの方々につけてもらっていますが、上の2つの言葉は、そのサポーターの方々から、よく出てくる質問です。

サポーターの方々から出てくる質問に対しては、ケースバイケースではありますが、以下のように答えています。

◆計算の仕方を理解しているが、ミスが続いているorまだスピードがついてきていない・・・
3分間、計算に向き合ったことをまず認める、という意味で、是非とも花まるをしていただき、『次、また頑張ろう』と伝えて下さいね」

◆単元への理解度、計算に苦手意識がある場合・・・
「担任含め学校で、子どもそれぞれの現状については把握し、花まるタイムの計算の時間は、なかなか進められない子のそばにいって、指導しながら、一問一問一緒に進めようと寄り添っています。段階をつけて指導し、その子ができる範囲を徐々に広げていっていますので、前日よりも少しでも進んでいる様子がありましたら、『前より進んだね!その調子!』と声をかけたり、コメントをつけたりしていただくと、子どもも喜ぶと思います。また、つまずいて、ほとんど進んでいないときも、『自分のペースでいいから、少しずつ明日も頑張ろう』と、励ましのコメントをつけていただければと思います」


そもそも、地域のサポーターに付けをお願いするしている目的について。
先生、自分の両親以外の第三者から、自分の頑張りを「花まる」という形で認めてもらうこと。「昨日よりも、字が丁寧になっとるね!」と小さな頑張り・成長も、その場で言葉にしてもらえること。1人の先生が30人の様子を見ないといけない環境の教室において、1人でも多く地域の方がサポートに入ってくださり、子どもの成長・頑張る姿勢を見逃さずに言葉にしていただけることは、子どもたちにとって、次も頑張ろう!というモチベーションに確実につながっていると思います。

それは、5・6年生でも変わらないと思います。花まるタイムの話ではありませんが、ある学校では、自主学習ノートに地域の方が花丸をつけてくださる、ということを行っています。その中で、5年生のある女の子のノートが前日に比べ、パッと見ても分かるくらい、「分かりやすくまとめて、書かれていた」ということで、それを見た地域の方が、「前日よりも頑張って、分かりやすくなったね」とコメントをつけたそうです。それに対する女の子の反応を、そのお母さんに聴いてみたのですが、「コメントを書いてもらっていた!」と嬉しそうにして、その日の自主学習ノートへの取り組み方が、これまで以上だった、と教えてもらいました。


花まるタイムの「サボテン」「あさがお」でも同様に、頑張りを言葉で伝えることで、子どもたちの心に響いていきます。

ただ、子どもたちも十人十色、調子のいい日・悪い日、得意な単元の日・苦手な単元の日、と様々です。少しでも苦手だと思ったことに全く手をつけたがらない子、自分のやっていることから次になかなか切り替えられない子・・・。色々な子がいるから、どうやって対処すればいいのか分からない!ということで、冒頭のような質問があげられます。こうやって、質問があがってくることは、その人の中で「目の前の子のために、なんとかしてやりたい」という気持ちの表れだと思い、私も全力で話を聞き、答えていきます。

ただ、「全くやっていない、合っていない子」=「ダメな子」となるのでしょうか?この見方は、その子のこれからの成長を止めてしまうような気がします。大事なことは「なんで今手が動かないのか」について、しっかりと想いを馳せて、その子なりのステップを一緒に考えて、そのステップが踏めるような声かけをして・・・。つまり、現状の周りと比べるのではなく、その子自身の変化と次のステップに目を向けることだと思います。

今地域のサポーターの方々にお願いをしていることの一つは、激励すること。採点ではありません。その子自身の成長を見続ければ、激励をする側も「言葉にしやすく」なります。

始めは至らない点がたくさんあると思いますが、見方を変えれば、変化の要素が目に見えるほどたくさんあることとも言えます。繰り返しの中で変化の芽が伸びていく。見方を変えると、言葉かけも変わっていくかもしれません。

0 件のコメント:

コメントを投稿