※『なぞぺ~』というのは、花まる学習会オリジナルの思考力教材の名前です。迷路や図形問題、論理問題など多種多様な問題があり、それらに「なぞなぞ感覚」で楽しめるように開発されました。

『なぞぺ~プリント』には、子ども達が作った問題が出題されることもあります。誰の問題がプリントに掲載されるのかを楽しみにしている子が多く、プリント配付直後は「○○君の問題だ!」「やった、載ってる!」という声がよく聞こえます。ただし、作問は発展課題で、「問題を作ってみたい!」という子だけが挑戦してきました。
ある小学校の6年生クラスでの先月の『なぞぺ~授業』で、あえて「全員作問」の時間を設けました。4月から彼らの様子を見てきて、秋頃から論理的思考力がぐんと伸びたのを感じていました。やみくもに解き始めるのではなく、どういう道筋で解いたらいいかを考えたり、難しい問題から挑戦したりする子が増えてきたのです。そんな彼らだからこそ、少しレベルアップして「全員作問」に挑戦することにしました。
作問を始める前に『良い問題』のポイントを話しました。
①答え方ができるだけ少ない問題
例えば、ゴールまでの進み方が何通りもある迷路よりも、一通りしかない迷路方が良い問題です。
②「答えが絶対に決まる場所」を順番に解いていけば、必ず解ける問題
「なんとなく」ではなく「このマスには3しか入らないから」というような、「答えが絶対に決まる場所」を見つけ、丁寧に詰めていけば解けるのが良い問題です。
③誰に解いて欲しい問題かレベル設定されている問題
難しければ良い問題、というわけではありません。「簡単」「難しい」という感じ方は人によって違います。1年生にちょうど良いレベルの問題は、5年生によって簡単すぎてつまらない問題かもしれません。どんな人に解いて欲しいかで、問題の作り方は変わります。問題のレベルを調整する方法の一つは「絶対に決まる場所」の多さを変えることです。決まらない」ということは、それだけ場合分けを繰り返し、丁寧に詰めていかなければいけません。
いざ作問に取り組み始めると、良い問題のポイントをどう押えるか、書いては消しを繰り返しながら試行錯誤する姿が見られました。
ある女の子は低学年向けの図形問題を作っていました。作問の方法自体はとても簡単なのですが、どうしたら低学年の子にとって簡単すぎず、難しすぎない問題になるか一生懸命に考えていました。その結果、彼女の机の上には消しカスの山が…。
スクエアパズルを作っていた男の子は、別解のない問題になるように何度も解きなおしていました。実は一カ所、別解ができるマス目があるのですが、ここまで考え抜いた過程が立派です。
作問の面白さにはまり「もう1問作ってみます!」と作問シートをもらっていく子が多く、多めに用意していた用紙は授業終了と同時になくなりました。
子ども達から提出された問題を実際に解いてみると、彼らなりの工夫がよく分かります。全部で約50問集まった問題、1つ1つが「良い問題」にこだわって作ったことが伝わってきました。
そんな50問を1冊の問題集にして、6年生にプレゼントをしました。『なぞぺ~授業』で積み重ねてきたものがギュっと詰まった1冊です。表紙は担任の先生が今まで誕生日プレゼントとして描きためてきた、子ども達の似顔絵を使わせていただきました。
問題集をプレゼントした後、ある女の子がこんなことを言っていました。
「中学生になっても、なぞぺ~の問題を作って妹に預けるね。」
卒業生からの、なぞぺ~出題が今から楽しみです。
武雄市の6年生の皆さん、卒業おめでとうございます!