2017年6月14日水曜日

第28話 「大人の本気 ➡ 子どもの本気」(花まる:前原)

 花まる学習会の野外体験で大人気のコンテンツ「サムライ合戦」を武雄市内の朝日町と西川登町で開催した。
--------------------------------------------------------------
 ~サムライ合戦とは…~
 スポンジ刀で相手の太ももについている紙風船を割る戦い。
勝利の条件は、「相手チームの大将の紙風船を割る」こと。
勝つために重要なのは、「皆が本気になって取り組むかどうか」だ。
 
※本気になるから、勇気をもって敵に立ち向かえる。本気になるから、
チームで創意工夫をするようになり、自然と一体感が生まれてくる。
学年の上下、大人・子どもの区別なく、異学年・異年齢の集団で行うことで、より子どもたちの成長が見られることが期待できるプログラムである。

◆サムライ合戦 公式PVが見られます◆
------------------------------------------------------------

先日西川登小では「大人vs子ども」の戦いを行った。
一見子どもたちが不利に見えるが、想像通りにいかないことがサムライ合戦の面白いところである。子どもたちは、どうしたら勝てるのかを、動きながら考え、その考えを実践し続けていた。

その甲斐あってか、最後は「大人3vs子ども6人」まで攻め込むことができ、会場全体、「子どもたちの勝ちか…」という雰囲気が漂っていた。

ところが、ここで思わぬ出来事が起きた。大人チームで残っていた1人のお母さんが、相手のスキをついて敵陣までかけあがり、大将の風船を打ち取りに出た。大将の守りには2人の子どもがいたのだが、その2人のスキもついて、大将の風船を割ることに成功したのだ!
最後の最後で大逆転、大人チームが勝利をおさめた。この展開には当の大人チームも想定外で、大喜びしていた。

一方の子どもチーム。「あ~ぁ・・」「大人チームだもんなぁ。勝てっこないよ」と意気消沈しているのか…と思いきや、そうではなかった。
終わってすぐに、「もう1回!もう1回!」と、全員が叫びだしていた。雪辱に燃える力のこもった大合唱。この切り替えの早さはすごい。彼らの気持ちを汲み取り、時間オーバーではあったが、泣きの一戦が決まった。
 
最後の一戦の実施が決まってから、子どもたちは輪になって、作戦会議を始めた。ほとんどが3年生。それでも子どもだけで作戦会議が成り立っている。子どもたちの本気度、団結が伝わってくる場面であった。

そしていざ決戦。子どもたちは自分たちで立てた作戦を遂行し、善戦していたが、戦いの終盤、「子ども3人、大人6人」の状況に追い込まれてしまった。あとは大将と2人の守りのみ。2人は大将に密着しながら守っているのだが、大人チームの攻めもあり、相当きつい状況。

「もうここまでかぁ」と、子どもチームに負けムードが漂う中、ここで予想外の展開が起こった。
守られていた大将が、自身の守りをかき分けて、敵大将のところまで駆け寄って攻め込み、その勢いのまま、大人チームの大将の風船を一気に割ったのだ!

この予想外のクライマックスに、大人チームは驚きを隠せず呆気にとられていた。かたや子どもチームは歓喜に包まれていた。その前の戦いとは真逆のエンディングであったので、子どもたちにとっては、この喜びは言葉にできないくらい、非常に大きなものとなっただろう。

泣きの一戦を求めた子どもたちの粘り強さにあっぱれだ。しかし、その粘りを引き出したのは、実は「大人の本気」なのだ。
負けムードが漂う中、一気にギアをあげて勝ちを奪い取った大人の意地。それが子どもの心に火をつけて、想像以上の力をひきだす要因になったのではないか。
「本気でやることはかっこいいんだ」と見せること、「本気でやると達成感があるんだ」と一緒に分かち合うこと。そんな空間を一緒に創り上げるためにも、大人が先頭にたって「本気になる」ということは、重要なのである。


大人も子どもも、一緒に本気になれる「サムライ合戦」には、子どもたちの成長のきっかけがつまっている。

0 件のコメント:

コメントを投稿