2017年7月3日月曜日

第30話 「町のプライドは大事にしてほしい」(花まる:前原)

武雄市と花まる学習会が連携して進めている官民一体型学校の取り組みは、2020年度までに全校での実施をスタートさせることが、昨年度の秋に決定された。
 そのうち、北方小学校と山内東小学校、山内西小学校の3校は、2018年度春より取り組みがスタートする。
 
 来春からのスタートを見据え、先日北方町では「官民一体型学校地域協議会」の1回目が開催された。「花まるタイム」について、少し話をしてほしいという要請を受け、私もその会に参加してきた。

 参加して、まず驚いたことは質問の量。
 会の前半でお時間をいただき、「花まるタイム」について映像を交えて話をした。話をした後、質問を受け付けたのだが、思っていた以上の質問が出てきた。
 
「全部正解ではなくても、花丸をつけることには、少々抵抗があるのですが…」
「子どもたちの成長を感じるには毎日行かないとわからないと思う。それについてはどう考えていますか?」

など、ここでは載せきれないほどの質問があったのだが、いずれも町の子どもたちのことを思っての内容。北方町の地域の方々の、子どもたちを思う熱量の高さに驚かされた。

会の後半は、これからどうやって各地域での説明会を進めていくのか、またどうやって「花まるタイム」をサポートしてくださる方々を集めていくかなど、今後の準備についての話に移っていった。そこでも、さらに驚かされることがあった。

27年度から「官民一体型学校」の取り組みをスタートさせている武内や東川登など、市内では6つの地域がこの取り組みを進めている。北方としては、先行している地域の方々が準備されてきたことを参考にできる。事務局である公民館の方も、ほかの地域の例を挙げながら準備スケジュール案を示されていた。
それに対し、とある役員さんが、

「準備について、色々と考えてくださっていることはうれしいのだが、一つだけ言わせてほしい。私たちはコピー機ではないから、ほかの地域と同じにする必要はないと思う。北方は北方のオリジナルでよかろうもん!」
という発言された。

この方の発言を聞き、個人的には心が震えるくらい、「おぉ~」と感心した。
他の町で進められてきた準備のやり方をそのまま踏襲すること。何かをやり始める人にとっては、前例があるとすごく心持ちが楽になる。前例に従って進めていくと、それはそれで楽なのだが、町それぞれで特性が異なるから、前例の中でも、どうしてもマッチしない部分はある。
おそらく無理に合わせようとして、「他の町でやっているから、こうやるものだ」というだけで進めてしまうと、どこかに無理が出てしまうし、何よりやらされ感が生まれてしまう。大事なことは、前例を参考にされたうえで、そこで起こっている問題を分析して、そのうえで「じゃあ、うちの町ではこうやってみてはどうか」と、試行してみる。正解はないのだから、やりながら変えていけばいい。その中でオリジナルは生まれていくものだと思う。

北方町のことを補足すると、この町は官民一体型学校が武雄で始まる前から、「地域子ども教室」を夏休みに実施している。そこでは、子どもたちが各区の公民館に集まって、集中して夏休みの宿題に打ち込める環境を作っているのだ。
これは北方町独自の取り組み。ほかの町がやっているからやろう、ではなく、町の子どものためになるなら…と、町で考えて子どもたち、家庭を支えようとしてくださっている。

北方は、これまでも地域が子どもたち、家庭を支えようと動いている。
そこに新しい取り組みとして「官民一体型学校」が入ってくるのではなく、地域と子ども、家庭と地域のつながりの幅を今以上に広げるための取り組みとして、「官民一体型学校」が始まる。


町のプライド、思いを大事にしていきたい。その思いが土台となって動いていくことで、町オリジナルの取り組みとして形になっていく。

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